ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】
第1章 イルミ先生と私
先生の授業は簡潔かつ合理的で解りやすいと評判で成績の上がった生徒が大勢いるそうだ
楽しみにしていた時間は一瞬の内に過ぎる
あっという間に無機質なチャイムの音が終わりを告げていた
今日の先生は此れで見納めかと落胆する
1日中数学の授業だけでも良いくらいだ………なんて妄想を広げていると
机の端をコツコツ叩かれ顔を上る
「君は放課後居残りね」
「………え?」
「無断で帰ったら承知しないから」
一方的に告げられた言葉
憧れの人に話し掛けられた感動の後に浮かぶ疑問
私は何か仕出かしただろうか………確かにテストの点数はよろしく無いが提出物は完璧だし授業態度だって悪くない
何か叱られる様な事をしただろうか………
(…………テストか………?テストが駄目やったの………?…あかん、めっちゃ怖いんやけど………)
私はその日1日中上の空で過ごし放課後、多目的室前で一人立っていた
念願だった初めての会話で承知しない、と怖い言葉を残した先生を只待っているのだが
とっくに授業が終わり結構な時間が経っているのに先生は一向に現れない………
部活のある生徒以外は皆帰宅してしまっている
「………遅いんやけど………」
ポツリと溢した声は辺りの静けさを際立たせた