ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】
第1章 イルミ先生と私
鳴り響くチャイムと同時に教室の古びた扉が開き涼し気な雰囲気を漂わせた男が入って来た
私は毎回この時間を待っている
教台の隅にキッチリと置かれた教材
何処か飄々とした話し口調
長く垂れた髪をとかす仕草
私が彼に惹かれたのは高校二年生の春
赴任してきた、と朝礼で紹介された先生は涼し気で凛とした雰囲気を纏って簡潔な挨拶を単調に述べた
印象的な大きく猫目がちな瞳、すっきり通った鼻筋に形の良い唇
サラサラの黒髪は長く伸び新調した様にピッタリなスーツからはすらりと伸びた手足
先生の容姿は一際目立ち体育館はたちまち色めいた
私は例に漏れずその内の一人だった
先生の授業はきっと沢山の生徒が心待ちにしているだろう事は一目瞭然で普段無駄話の多い女生徒も随分汐らしい
シンと静まり返った教室にチョークを走らせる音が鳴る
黒板には大嫌いな数字の羅列が並ぶが私は先生の指ばかり見ている
男性の物とは思えない綺麗な指
「ここテストに出すから。」