第2章 *二ノ章*
音也を待ち構えていたのは男性2人、女性が一人だ。
「ごめん、お待たせ!」
「音也、遅刻ですよ」
「ん?オトヤン、その子は?」
不意に後ろにいた私を見て音也に問いかける。
私は反射的に肩を揺らしてしまったが、相手の方は気にする素振りはない。
「俺の友達!幼馴染なんだ!」
「は、初めまして!虹村夏海です」
慌ててお辞儀をするけど、緊張してか声が上擦ってしまった。
「へぇ~?オトヤンも隅に置けないなぁ」
「ちょっと嶺ちゃん!」
「初めまして、夏海ちゃん。僕は寿嶺ニ!よろしくマッチョッチョ!」
元気な寿さんをみて、疲れたようにため息をついたのは……
どこかで見たことのある人。
「一ノ瀬トキヤです」
「……HAYATO?」
そうだ。
確かバラエティとかで人気のあったHAYATOに似てるんだ。
すると彼は不機嫌そうに眉をひそめ、もう一度『一ノ瀬トキヤです』と繰り返した。
更にその奥から出てきたのは大人しそうな女の子。
「初めまして。七海春香です」
失礼ながらとてもアイドル向きとは思えない。
もちろん、凄く魅力的で可愛らしい女の子だ。
だけどどちらかと言うと引っ込み思案なタイプに見える。
「七海は作曲家なんだ!きっとなぁちゃんも気に入ると思うよ」
あぁ、そだよねって思う。今まで失念していた。
今の音也に彼女がいても可笑しくない。
音也はもう、一人じゃないんだから――。