第2章 *二ノ章*
音也は少し話したら、すぐに撮影が始まった。
幸いスタッフさんがちゃんと許可をくれていたのでそのまま現場を見学した。
音也の演技は自然でのびのびしてて、見ていて気持ちが良い。
自然体だから引き込まれるし、惹きつけられる。
「はーい!OKです!」
監督さんの一声で各々、休憩に入る。
音也はまっすぐ私のところへ来てくれて弾んだ声で感想を尋ねてきた。
「凄かった……のびのびしてて、自然で、引き込まれる感じ」
「本当!?この後さ、レコーディングするんだけど来る?」
「行く!」
そうこうしていると監督さんが美風さんのところへ何か相談しに行った。
何なのだろうと首をかしげていると、音也がこっそり教えてくれた。
「美風先輩に代役と曲を頼むんじゃないかな?」
「代役はともかく、曲って?」
「美風先輩って作曲も出来るんだよ!すっごくいい曲なんだよ!」
「そうなの?」
「うん!今度聴いてみるといいよ」
そういった後、音也は『今のは内緒ね』と付け加えた。
その仕草がまるで悪戯をする子供みたいでつい、笑ってしまった。
私が笑うと音也はむっとしたように拗ねてみせたけど、それも昔のままだった。
やがて撮影も無事に終わり、私は音也とレコーディングルームへ向かった。
そこには既に3人、音也を待ち構えていた。