第2章 *二ノ章*
しばらくそっと隙間から様子を窺っていたけど、休憩に入ったようなので部屋に入る。
するとすぐに気がついたようで音也がタタタッと走ってくる。
「なぁちゃん!よかったぁ、来てくれて」
「来る約束してたでしょ?」
「そうだけど、時間過ぎてたし……あ、美風先輩!ありがとうございました」
「別に?ボクも面白かったし」
『面白かった』が何について指し示しているかは分からないけど嬉しい。
少なくとも、私と居てつまらなかったわけではない事に安心した。
すると隣で音也がぼそりと
「なぁちゃん、嬉しそうだね」
と呟いた。
「そうかな?」
「うん。なぁちゃんのそんな顔、久しぶりに見た気がする」
「そうなの?」
「そうだよー!そんなに美風先輩と居て楽しかったの?」
ちょっとその問いには答えかねる。
楽しくなかったと言えば嘘になる。
だけど変な誤解はされたくない。
「おと君と一緒に居るのと同じくらい、かな?」
私にはそういうので精一杯だった。
だけど、嘘ではない。
音也と一緒に居るのも楽しい。
美風さんと居ても楽しかった……というよりは嬉しかった。
どちらもこれからも続けばいいなんていうのは、欲張りかな?