第6章 最高級の苺
最寄り駅で降りて水と雑巾を持って丘を上がる
『来るの遅れてごめんね』
綺麗に掃除して線香と花と両親が好きだったお饅頭を置いて手を合わせる
『お母さん…お父さん…私ね学年トップの成績だったよ』
頭を撫でてくれる優しい手はない
『いい場所だね』
私は横に座ってボーッと波の音と風を感じていた
いつの間にか雨が降っていた
それは本降りで、でも離れたくなくてジッと蹲っていた
『私…お母さんとお父さんのところに行きたいよ…』
涙も雨で隠れて気付かれない
寂しい、苦しい、辛い
朝比奈家(あそこ)には居場所がない