第13章 2度目の初めまして
祈織 side
目を開けるとちゃんが居なかった
祈織「!ちゃん…?」
急な不安に襲われて辺りを見渡すと、ふわりと風が吹いた
点滴の管はベランダに続いていた
『……♪』
小さな歌声はとても綺麗で心地よくて、落ち着いた
風がちゃんの綺麗な黒髪を靡かせる
『?…祈織さん』
祈織「……居なかったから心配したよ」
『すみません。少しだけ外の空気が吸いたくて』
ずっと病室に縛り付けられていたちゃん
祈織「良いけど、これからは起こして?ね?」
『すみません』
そういうちゃんは僕を見つめた後、フッと悲しそうに微笑む