第12章 真実
『私…私は…』
雨に濡れた身体を抱きしめる
『お父さん…お母さん…なんで…』
なんで置いてったの?
自分達だって痛かっただろうし、苦しかっただろうに
なんで私を助けたの?
『っ…!』
ガンッと壁を殴る
痛みなんかない
絵麻さんを泣かせたんだ
絵麻さんを苦しめた
『っ…あっあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!』
わけも分からなくなった私は壁を殴り続けた
─────
───
─
どれくらい経っただろうか
手は血塗れで腫れ上がっていた
『………ピアノ…弾けるかな…』
お父さんとお母さんが好きだった月光
オルガンを一音一音確かめると全部しっかり鳴った