第11章 episode4 勉強会の時間 1.5時間目
帰り道。
一応中学生仕様の自宅まで業が送るという。
「まだ、早いし平気だからいいよ。」
珍しい事もあるもんだ。
「何、遠慮してんの? 今日は何もしないって」
胡散臭過ぎるが、特に断る理由もないので送ってもらう事にする。
暫しの沈黙が流れる。
先程の仕返しを考えているのか、業は無言だ。
送ると言っておきながら、これは気まずい。
(私から振れる話題はまだ、そんなにないし・・・・・・)
気付けば夕陽が傾きはじめる。
もうすぐ、私の自宅だ。
「あんり」
門に手をかけたあたりで、業に呼ばれた。
真剣な声音に私も真剣な表情を返そうとした。
「何?」
ふわっと唇に何かが触れる。
「!?」
それがキスだと理解するまで、数秒
まだ、イリーナ先生が来る前なのに!?
と驚くまでに数秒。
「な、ななな!?」
流石に赤くなってしまったが、夕陽でバレてない。よね?
ようやく、私が赤くなる事が分かって嬉しいのか、否先程の仕返しが出来て嬉しいのか。
業は私が一番好きな薄ら笑いを浮かべて
「また、明日」
と何事もなかったように、帰って行った。