第10章 episode4 勉強会の時間 1時間目
「女子にも当然声を掛けましたよ。でも、彼女がE組だから嫌です。と断られました。」
一見、さっきと同じ理由だ。
でも、なーんか。怪しいんだよなぁ。
「学ちゃんさーホントに誘ったの? 自分で群がられたら嫌だから誘わなかった。とかじゃないのー?」
「そうなのかい? 浅野くん」
でも、五英傑だけだと警戒される。
だから、私と仲良くなりたいらしい男子だけを募った。ってところか?
私と理事長に詰め寄られて、学ちゃんは目をそらしている。
「まさか、浅野くんがそんなことに勉強会の権利を使おうとはね。」
理事長、明らかに怒ってますよね。
いや、教育間違えた? って感じの失望?
「ち、違います!」
「では、もっときちんとした弁明を聞こう。浅野くんが今日のことを女子に話してるのを見た者は?」
しーんと静まり返っている。
(え、いやマジで誘ってなかったの!?)
「雪見さん。悪いが今日はもう帰ってくれないか。赤羽くんと約束があったんだろう。」
「え?」
約束は明日の筈・・・・・・と思っていたら背後から、いたずらっ子悪魔モードの業が手を振っていた。
「待ってくれあんり!」
引き止める学ちゃんに止められそうになったけど
「構わないよ。行きなさい」
理事長にそう言われたら、退室せざるを得ない。
(まぁ、よくわかんないけど。勉強しなくていいならいっか。)
「えっと・・・・・・じゃあ、」
理事長にぺこりと頭を下げて、荷物を持って業の方へと向かう。
(ちょっと可哀そうなことしちゃったかなぁ。)
そう思って、去り際に後ろを見ると
「もう一度指導しなければいけないみたいだね。」
(もしや、あの洗脳か?いや、でもアレ学ちゃんには効かなかったよね?)
と疑問に思いつつ、教室を出た。