第2章 episode0 転生の時間
それからしばらくは、渚くんと業くんの様子を見守り続け――――――あ、言っとくけどストーカーじゃないからね。
渚くんと行動することが多くて、その関係で業くんとも・・・・・・って感じ。
それが、中一の半ば。
時間軸は大体合ってるね。
流石に業くんや渚くんと行動していく内に
(ホントにこれは夢なのかな?)
と思い始めた頃。
「どうしたの? 雪見さん?」
「具合でも悪い?」
おちょくるようにうつむいていた私の顔を覗き込む業くんと、心配そうな渚くんが目に入り、我に返る。
「え? 別に。元気だよ?」
最早日常となりつつあった、3人での下校途中。
「ホントかなぁ?」・「なら、いいんだけど」
「ホントだってば、心配おかけしました。」
まだ、疑い気味の業くんを前に押し、渚くんには笑顔を向ける。
「ほらー、行こう。」
「業ってのは、テメーか」
(あー、なんか居たなこんな不良)
「よくも人の連れボコってくれたな。」
「え? 知らねーし」
喜々としてるな。絶対覚えてるし。業くん喧嘩好き過ぎだろ。
だが、今のちょっと可愛かったぞ。
「先に因縁つけてきたのはソイツだよ。」
「嘘つけ、コイツが言うには・・・・・・」
なんて不良Aの言い分を業くんが聞くわけもなく、カバンを上に放り投げて、それに気を引かせてる間に殴り掛かる。
(うわー卑怯だなぁ(棒)知ってたけど。)
そして、渚君の腕に収まるはずのカバンは何故かこちらへ・・・・・・
喜々として不良Aを殴る業くんだったが、ここでアニメにはなかった要素。
そう、私だ。
流石にここまで来ると、夢とは思えなくなっていたし、トリップしたのは間違いない。
そして、何よりこの時点ではまだ1週目の時間軸だ。
平凡だった私が喧嘩に強い訳もなく。
「お、おい! この女がどうなってもいいのか」
「んー?」・「雪見さん!」
殴り続けていた業くんの手が止まる。
もっとも、既に不良Aはボコボコで反撃なんてできそうにないけど。
っというか、仮にも女子を人質にとるとかお前らどんだけ情けないんだ。