第5章 episode3 野球の時間/能力の時間 1時間目
「何話してるんだろう。」
「んー野球の話でしょ。」
「もしかしたら、昨日の暗殺を根に持って絡んでたり」
「いや、そこまで・・・・・・」
あれー? なんで私渚に手を引っ張られてるんだろうか。
すぐそこに行くまでに。
「なにしてるんだよ。殺先生。」
「ぬ?」
「生徒に危害加えないって契約じゃなかったの?」
これは・・・・・・危害。なのか?
っていうか、男の子の触手責めって・・・・・・
「でもねぇ、触手は正直です。」
触手から杉野を開放しながら、殺先生は言う。
「有田投手と比べて君の肩の筋肉は配列が悪い。」
「どういうことだよ。」
「君の体では彼のような剛速球は投げられません。」
まーた殺先生偽悪的な言い方してる。
「どれだけ有田選手の真似をしても無理です。」
一見酷いように聞こえるこの言葉。
でも、裏を返せば別の才能を生かせとも聞き取ることができる。
「なっ!?」
「なんで・・・・・・先生にそんな断言できるんだよ。」
拳握りしめてるけど、渚それは誤解だよ。
「渚・・・・・・」
「僕らが落ちこぼれだから? エンドのE組だから? やっても無駄だって言いたいの!?」
「二人とも早撮りし過ぎ、殺先生はいつも誤解を招くような言い方するんだから」
「あんり? どういうこと?」
「そうですね。なぜ無理かと言いますと」
殺先生が新聞を見せる。
有田選手を杉野と同じ状態にした写真付きだ。
「昨日本人に確かめてきましたから」
「確かめたんならしょうがない。」
「認めるの早っ!?」
「サインももらいました。」
渚にめっちゃ突っ込まれてるけど、そりゃあの体制でサインって怒られるわな。
でも『ふざけんな、触手!』は笑う。
「そっか・・・・・・やっぱ才能が違うんだな。」
「一方で、」
「?」
「ひじや手首の柔らかさは君の方が素晴らしい。鍛えれば彼を大きく上回るでしょう。弄り比べた先生の触手に間違いはありません。才能の種類は一つじゃない。君の才能にあった暗殺を探してください。」
思わず微笑ましくて笑ってしまったけど、私にも何か才能があるんだろうか。
そして、それはこのクラスで見つけることができるだろうか。