第5章 episode3 野球の時間/能力の時間 1時間目
「まずどこから話せばいいものか・・・・・・」
「そうですね。では、まずその姿についての説明からお願いします。」
「はい。」
私は成長を操る薬について説明した。
信じてもらえるとは思っていなかったから、中学生サイズに戻る薬も用意してきて、目の前で見せた。
「なるほど、姿についてはこれで納得しました。にわかには信じがたいですが、私自身がそうですしね。・・・・・・では次に私を"死神"さんと呼んだことについて(これははっきりさせなければいけません。彼女とは面識もありませんし、研究員でもいなかったでしょう。)」
「先に言っておきますけど、知ってるから知っている。としか答えられません。殺先生が最強の殺し屋である死神と呼ばれていたことも、雪村あぐりさんとの約束で教師になったことも」
言ってしまった。
後には引けない。
「ふむ。そこまで知っているのですか。」
「例えば、私が異世界や未来から来たから全て知っています。と言ったって、いくら先生でも流石に納得できないでしょう?」
「信じてあげたいですが、こればかりは・・・・・・」
「それが普通です。頭のおかしい人だって思われても不思議じゃないですからね。」
「ですが、」
「?」
殺先生はそう言葉を切ってから、
「実際の姿についてはホントに納得しましたよ。君はどこか中学生離れしているような雰囲気もあり、勉強を懐かしんでいるようなノートの取り方をしていた。私のことを知っているのもうまく伝えられない何かなのでしょう。」
「はい。」
察してくれたことに感謝の意を込めて、先生の目を見てうなずく。
「とりあえず事情は分かりましたが、その姿のことはどうする気ですか? バレるの覚悟なのでしたら、いっそ皆さんにバラしてしまった方が、楽かと思いますが」
「私もその予定でした。別にこの姿に戻ったからと言って皆を下に見る気はないですし」
「それを聞いて安心しました。・・・・・・だそうですよ。皆さん。」