第5章 episode3 野球の時間/能力の時間 1時間目
慌てる杉野をよそに
「挨拶は大きな声で」
「おはようございます。殺先生」・「おはようございます。」
安定のアイディアを褒める殺先生。
その姿勢を2代目にも見せていれば、裏切られることもなかったのかもしれないね。
「用具室までグローブを取りに行ってきました。」
ショックを受ける杉野と渚
「まぁ、マッハ20だし、そうなりますよね。」
「ところで、そちらは?」
今更ながら私に気付いたらしく慌ててヒト型を取る先生。
「嫌だなぁ。殺先生。雪見ですよ。生徒の顔をお忘れですか?」
「にゅや!? 雪見さん、ですか? いやそれにしては、髪が伸びすぎていますし・・・・・・」
私が答えようとしたところで、チャイムが鳴ってしまう。
「あ・・・・・・職員室に行くのでその時お話しします。HRはどうしましょうか?」
「流石にそれでは目立ってしまいますね。まずは話を聞いてからにしましょう。渚くんと杉野くんは教室に行きなさい。」
「はーい。雪見またな」
「あ、そうそう殺せるといいですね。卒業までに」
いつの間にやら縞々になっていた殺先生が二人にそう言い残して去っていく。
「さぁ、HRの時間ですよ」
「・・・・・・はい。」
私も歩き出す。
そんなことないよ。と言ってあげたいところだが、
私はトリップ前全く球技が出来なかったので、投げれるだけでも凄いと思う。
けど、それは彼にとって慰めにはならないだろう。
自分より下から言われても、お世辞はいいよ。となってしまうだろうし。
HR終了後
職員室で待っていると、殺先生がやってきた。
「これって欠席扱いですかね?」
「いえ、どこか雪見さんの面影がありますし、君が雪見さんと同一人物というのは間違いないでしょう。」
案外すんなり受け入れてくれた。
そりゃそうか、自分が人外みたいなもんだし。
「それで、どういうことか説明してくれますか?」