第5章 episode3 野球の時間/能力の時間 1時間目
翌朝。
日光浴をしているであろう殺先生の元へと向かう。
杉野と渚が暗殺しようとしているけど、まぁ。見られても支障ないか。
「んーアメリカでも月の話題ばかり、もっと楽しい一面記事が見たいですね。」
「HRの前に校舎裏でくつろぐのがアイツの日課」
「へぇ~そうなんだ。」
「あぁ、渚の情報通り・・・・・・ってうわっ!! 誰だよアンタ」
渚式気配を消して近づいたんだけど、こんな至近距離まで気付かないとは、もしかして才能ある??
「誰だよ。って酷くない杉野。クラスメートの顔忘れたとは言わせないよ。」
冗談っぽく言ったはいいけど、杉野はホントにわからないらしい。
「はぁ? クラスメート? 渚覚えてるか?」
首をかしげて真剣に悩んでいる。
「もしかして・・・・・・あんり?」
「おぉ、正解。大分変ったのによくわかったね。流石我が友」
この二人の反応を見てお察しの通り、私は今本来の姿で学校に来ている。
正解してくれた渚の頭を撫でてやると、少し赤くなった。
「えっと、それであんり。どうしたのその恰好。」
「んーちょっとイメチェン?」
「いや、無理があるだろ。」
「いやー実はさ、ホントはこっちの姿がなんだよね。・・・・・・とか言ったら信じる?」
もちろん何言ってんだコイツ的な目で見られました。
「酷いなぁ。女の子をそんな目で見てはいけません。神崎さんに言いつけちゃうぞ(嘘だけど)」
「な、なんでそこに神崎さんが出てくるんだよ。」
「大丈夫だよ杉野。あんりがこういう言い方する時は大抵冗談だから」
杉野はそれを聞いてホッとしたような表情をした。
ホントに好きなんだな。
殺先生は、と言うと気付いているはずなのに、気付かないふりをしてくれているのか
「杉野。とりあえず暗殺チャレンジしたら?」
の私の一言で、二人は本来の目的を思い出した。
早速BB弾入りの野球ボールを投げる杉野だったが、あっけなく交わされ、
「おはようございます。」
と後ろから挨拶された。