第9章 真選組女中生活 X日目 沖田総悟
山崎の部屋に着くと少女は持って来た書類を提出した。山崎は書類を確認すると筆跡が沖田のと違う事に気付いたのだが、特に追求することはしなかった。
「ありがとうちゃん。」
さっきと変わらず虚ろな瞳だな。旦那とはまた違った種類の。この間までは頼ってくれないとはいえど、目に光はあったのに。いつかまた光を宿してくれるのかな。
山崎はそんなことを考えながらまた頭を撫でてやった。少女は先程と同じように気持ちよさそうにせずにいたが、されるがままの状態でいた。山崎のことを見つめたまま。
「ねえ、もしよければ俺の書類も手伝ってくんない?ちょっと疲れたからさ。」
少女は頷いて見せると山崎の向かいに座り手渡された書類を先程と同じ様に黙々と片付けていく。その様子を山崎は眉を下げて眺めていた。
時刻が午後7時を回る前、渡された書類が終わると少女は山崎に提出し、部屋を去って行った。少女が去った後残された山崎は悲しそうにその襖を見つめていた。
早く誰にもでもいいから心を開いてくれないかな…この前だと壊れちゃうよちゃん。時間しか解決はできないんだろうけど、少しは休まないと。
山崎のこの願いは少女には届かなかったのであった。