第4章 真選組生活 2日目
ユミ子の言い分は最もである。事実少女は元いた世界で上の兄妹には許嫁がいるような家庭であったしかし、少女にも許嫁がいたとはいえど一番末っ子でかなり自由が与えられていた為、縛り付けられるものが兄妹達よりは少なかった。なので他の学生のように部活やバイトをした経験がそれなりにある。
ちなみに、少女は綺麗好きな性分であるのでよく清掃のバイトを好んでやっていた。
「そうですね、料理は上手とは言えませんが学校でそれなりにはやっていたので壊滅的ではないです。」
「壊滅的だったら困るんだけどね。まあいいさ。まだ30分も早いのに来てるということは、やる気はあるんだろう。そのやる気は褒めてやるさ。ただし、ここではあんたの家での生活は忘れなよ。聞いたが自分でこんな仕事やりたいって言ったそうじゃないか。朝はとりわけ人気が無いし有難い話だがね。甘やかすつもりはないから泣き言は言ってもいいが聞かないからね。」
「はい!精一杯努力しますので、よろしくお願いします。」
「さあ、せっかく早く来てくれたんだ。少し説明しながら先に始めておくかい。」
「はい!」
2人は話が終わると早速準備を始めた。朝の当番はこれまでユミ子を合わせて5人で切り盛りしていたが、隊士の数はゆうに100人を超えている為とてもキツイ。少女が1人増えたくらいであまり変わるとは思えなかったがそれでも有難い話であるのは確かだった。ユミ子ははじめから少女が戦力になるとは考えていなかった、それどころか、少女が良家の生まれであるので聞いた時は遊びでやろうとしているものだと、嫌な気さえしていた。しかし朝、出勤してみると少女がすでにキッチンに来ており、おっかなびっくりしながら道具の場所を確かめているのを目の当たりににして、冷やかして来たのでは無いとわかり、印象が良くなった。