第3章 真選組生活 1日目
「はー。」
土方は大きなため息をついた。それによって少女はビクつき、さらなる罪悪感を感じ、さらに口を強く噛み締める。
なんだ、そんなことか。そのくらい気にしなくてもいいのによ。ガキのくせして、気を使いすぎなんだよなあ。ほんっと、総悟にコイツの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
「いらん気ぃ回すんじゃねーよ。泣きたいなら泣け。我慢すんな。」
そう言いながら土方はソファーに座り、少女を持ち上げて膝の上に座らせ抱きしめた。突然の事に少女は驚き少しの間固まってしまう。しかし、土方の体温と頭が撫でられている事に気づくと、堰が切れたように泣き出した。土方はそんな少女を一定の間隔であやすように頭を叩いてやった。
コイツは損な性格なんだろうな。まあ、見知らぬ奴に初めから頼れって言う方が難しいんだろうけどよ。だとしても、昨日も夜寝ながら泣いてたくらいなんだし、もう少し頼ればいいのによ。子供のくせして何を背伸びしてんだか。
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およそ、10分くらいの時間であったろうか。少女は一頻り泣き終わり呼吸が落ち着いてきた。その間も土方はずっと等間隔で少女をあやしていた。それからまたしばらくして。
「おい、落ち着いたか?」
「…」
コイツ、寝てやがる。きっと泣きつかれたんだな。
実は前日の夜すぐに寝たとは言え、ぐっすり寝れたわけでは無かった。1人全く知らない世界へ放り込まれてしまったのだから無理もない話であるが。その上、朝は近藤、その後は土方と真選組のナンバー1とナンバー2とずっと一緒にいたので、さらに気を引き締めていたので、精神的にはギリギリだったのである。そこで思う存分に泣いてしまえば寝てしまっても仕方ないのである。