第10章 真選組女中生活 X日目 志村新八
「あ!!!起きたアルか!」
「あ、神楽さ…ちゃん、定春もこんにちは。」
「イェーイ!〜!!」
「か、かぐ、ら、ちゃ、ん」
「神楽ちゃん!ストップストーップ!!」
「お、おい神楽!窒息しかけてんぞ!」
「え?ああ!ごめんアル!!大丈夫アルか!?」
「ゲホッ、ゴホッ…だ、大丈夫です…」
「ちゃん本当に大丈夫?」
「ごめんアル…」
「私は大丈夫なので気にしないでください。ね?」
「ありがとうアル。」
神楽がお礼を述べながら頭を撫でると、少女ははにかんだようにほんの少しだけ口の端を上げた。
その様子を坂田と新八は微笑ましく見ていた。
「ワン!」
「うわっ、さ、定春…」
定春が突然声をあげたので少女は驚くのだが、ハッハッ、と定春がなんとなく撫でて欲しそうに少女を見つめるので、少女はおそるおそる手を伸ばす。
「…フワフワ。」
「あ、定春ちゃんに懐いてるね。珍しいんじゃない?」
「そうだな、あいつ俺が手ぇ出すと絶対噛むのに"」
坂田ぎ少女と同じように撫でようとすると定春は坂田の頭を、ガブリ、と噛んだ。
「おいおい、定春なんで俺には噛み付いてには素直なんだよ。俺も一応飼い主だぞ?」
「コラッ!定春!ペッしなさいペッ!」
「ワン!」
「…」
2人と一匹がそんなやりとりをしている中、少女はだだ黙々と定春を、撫でている。