第10章 真選組女中生活 X日目 志村新八
それからまたしばらくして
「新八さん。喉乾きませんか?」
「あ、ああ!そそそ、そうだね!何か買いに行こうか!」
2人は立ち上がり売店まで歩いて行く。勿論少女は新八の腕にすがりつくようにして腕を組み歩いている。だが顔を伏せているので表情はわからない。しかし2人の状況を側から見ると、付き合いたてのカップルが恥ずかしがりながらイチャラブしているようにしか見えない。新八は置いておいたとして、少女には全くそのつもりは無いのだが。
「すいませーん!お茶2つくださいー。」
「お、君たちなかなか可愛いらしいカップルじゃ無いか、ほらこっちは負けといてあげるよ。」
「ハハッ、ありがとうございます。」
「にーちゃん、この子を大切にしてあげなよ。」
「はーい。」
2人をカップルだと勘違いした店の店主は少女の分のお茶をまけてくれた。
も、申し訳無いなー。なんか騙しちゃったみたいだ。ていうか、ちゃん大丈夫なのかな。海わ見てる時の顔はなんだか、泣きたいのに我慢してあるようにも見えたし。それに今も下を向いてて顔は見えないし。やっぱり僕じゃ役不足なのかな。
「嫌ですか?」
「え?」
「私とくっついているの。死ぬほど嫌ですか?」
少女は顔を伏せたまま泣きそうなこえで尋ねた。
「え!?ななな、なんで!?全然嫌じゃ無いよ!ていうかちゃんとくっつていててすごく嬉しいよ!ってあ、違う違う違う!変な意味じゃないよ!?ただちゃんが頼ってくれているのが嬉しいだけなんだよ!信じて!」
「……では、もう少し我慢してもらえますか?もう少ししたら離しますので。」
そう言うと少女は新八の腕に少し力を入れた。
なんでそんなに僕が嫌がってると思うんだろう。全然嫌じゃないのに。むしろもっと甘えて欲しいのに…