第24章 不安定要素
次の議題は誰がどの衣装を着るか、に話題は移る。
大方推薦で衣装が決められているようだった。
「うーん、中原君はゴシック系かしら。」
「幼稚園児でも良くないか?」
「それ背だけでしょ(笑)………でもいいかも。」
「確かに!今ショタは流行りだからね!」
何処の誰の間で流行ってンだ、と悪態を付けば話の流れが完全に幼稚園児になっていた。
このままでは人生の汚点を作りかねない。
必死にそれらしい理由を考えたが何も浮かばず口を閉ざす。
『えぇー、でもロリータも良くない?フリッフリのドレス着て縫いぐるみ持って“別に来て欲しいだなんて思ってないんだからッ!”って。』
「「「おぉーーー。」」」
またもや流れを取り戻した彼女だけに聞こえるようコッソリと耳打ちをする。
中「さんきゅ。」
『ん?』
本当に意図が分かっていないらしい。
中「手前のお陰で人生の汚点が増えずに済んだ。」
『何云ってるの?フリッフリのドレス着ることには変わりないんだからどの道増えるでしょ。』
中「…………あァ!!!?」
『この子阿保の子だ。』
如何やらツンデレロリータならば佳いという問題では無いらしい彼をよそに再び窓の外をぼんやりと眺める。
「じゃあ次は宮野さんね!」
「宮野と云えば矢っ張り〜「「王子!!!」」」
満場一致で決まった結果は即席で作ったであろう名簿の欄へ記された。
「あ、でもミステリアスな雰囲気を生かして探偵も良くない!?」
「毒舌執事も有りかも!!」
「あぁーどれも捨てがたい!一層の事宮野さん全部やらない!?」
『待って!?私の自由時間無くなる!!』
結局王子の衣装で落ち着いた出し物の話し合いはこれにて終了となった。
中「帰ンぞ。」
帰りのホームルーム終了後、何時ものように隣に座る彼女へ声を掛ける。
『あぁー………ごめん。今日は先に帰ってて。』
しかし返って来たのは何時もとは違う言葉。
暗くなる前に帰れよ、と教師のような忠告だけ残し俺は一人帰路へついた。