第24章 不安定要素
九月。
容赦無く降り注ぐ陽の光も落ち着き、肌寒くなってきた今日此の頃。
校内でもチラホラと中間服が目立ち始める。
かく云う私もその一員だ。
『……なんて出だしが良かったなぁ。』
中「何の話だよ。」
空は快晴。
一歩外に出ようものならば一瞬で身体中から汗が噴き出る。
無論、中間服など暑苦しいものを身に纏っている者は一人も居ない。
『そんな奴頭沸いてるわ。』
中「だから何の話だよ!」
『地球温暖化は着実に進んでいますね、という話。』
中「環境を考えるより先に今の手前は目先の文化祭について考えろ。」
隣の席に座る彼が顎で指し示す方を向けば黒板にズラリと並べられた文字。
お化け屋敷、喫茶店、劇とありきたりなものもあれば特撮、バンド、ファッションショーなどと最早クラスの出し物という枠を超えているものも目に入る。
『いやいや、期間考えようよ。卒業式でやるの?これ。』
中「大きい声で云ってやれ。」
『やだよ。めんどくさい。』
中「また其れか…。」
私は無関係と云わんばかりに窓の外を見る彼女の横顔を見つめる。
小学生の頃から何時も一緒に居る、所謂幼馴染。
その彼女が本気になったことが一つでもあっただろうか。
……否、恐らく一度も無い。
常に一歩引いたところから物事を見ている彼女がクラスの出し物を決める話し合いに意見するなど『あっ!!じゃあ男装女装喫茶やろうよ!!』
中「あるのかよ。」
モブ「其れは一体…?」
『男子は女装して女子は男装するんだよ!服装は執事、ゴスロリとか人によって変えてさ。午前と午後の部で二日間でしょ?これなら二回来たとしても違う人が接客する可能性が高いし楽しめるんじゃないかな?』
モブ「おぉ!成る程!」
『そして何より私達の自由時間が増える!!』
モブ「みんな!!この案佳いんじゃないかな!?」
誰が如何考えたって不利益の無い案に不満を上げる者など誰も居なかった。