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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第23章 悪戯





敦「あっ、あの!!ご姉妹とかいらっしゃいますか!?」



意を決し会話に割り込み話しかける。
不思議そうに首を傾げた目の前の女性はこう答えた。



『……いえ。私は一人っ子なので。』

敦「そ、そうですか…。お話中に失礼しました。」



全くだ、と怪訝な顔をして此方を見る国木田を他所に考える。
もしかすると写真の人は依頼者の母親?
否、太宰とは同年代に見えた為其れは有り得ない。
或いは生き別れの姉妹。
何らかの異能力の影響を受けている?



様々な可能性を頭に浮かべたが何一つとしてしっくりくる答えは無い。
最早ただの他人の空似だと結論づける方が正解に近い。



『————ですから、人を探して頂きたいのです。』

国「場合によってはかなりの時間を頂きます。そして望まない結果になる可能性もありますが、それでもよろしいですか?」

『はい。』

国「何か特徴は?」

『えぇっと、背が高くて其の割には細身です。髪は蓬色の少し癖っ毛です。あ!あと包帯を身体中に巻いている筈です!』

国「………。」



分かりやすく項垂れていく国木田。
他の探偵社員は彼が仕事モードに入ったことを切っ掛けに興醒めしたと既に散り散りになっていた。
つまり、彼女の話を聞いていたのは国木田と敦のみ。



国「敦…、如何思う。」

敦「えぇっ!?如何って……もう心当たりがあり過ぎて。」

『もしかして行方を知っているんですか?』



ビー玉の様な眼を輝かせて尋ねる彼女への応えはただ一つ。



敦「暫くすれば戻ると思うので此方でお待ち下さい。」




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