第21章 侵食(彼目線)
愛理をセーフハウスに連れて行きソファーへ案内する。
心身共に疲れ切ったであろう彼女の為に大好きな暖かいミルクティに蜂蜜を垂らした物を差し出す。
『あ、あのすみません。何から何まで…。』
中「気にすンな。ほら、暖かいモンでも飲め。少しは落ち着くだろ。」
『ありがとうございます。』
おずおずと其れを口に含んだ彼女の表情は一瞬にして柔らかいものへと変わる。
中「美味いだろ?」
『はい!とっても!』
中「なンたって俺が作ったンだからな。」
『え!?市販のものじゃ無いんですか!?』
中「嗚呼、茶葉から煮出して作った。」
『中原さんって凄い人なんですね…。』
一から作ったのが意外だったのか目の前に或る呆けた顔を見て吹き出してしまった。
中「はははっ、すまねェ。手前が可愛くてつい、な。」
『なっ………!何処がですか。』
中「そういう所だよ。」
照れてポッと赤くなった頰。
揶揄われていると思っているのか少しいじけた口調。
何処を取っても愛らしい。
吸い込まれる様に愛理の隣へ座り火照った頬へ手を伸ばす。
未だ手を出す訳には行かねェと理性に仕事をさせた俺は手触りの佳い髪を小さな耳に掛けてやった。
すると愛理は拍子抜けをしたと云わンばかりに此方を見やる。
頼むから此れ以上煽らないでくれ。
手前には未だ話さなきゃいけねェ事があンだ。
中「なァ、俺の話聞いてくれるか…?」