第20章 侵食
『あ、あのすみません。何から何まで…。』
中「気にすンな。ほら、暖かいモンでも飲め。少しは落ち着くだろ。」
『ありがとうございます。』
卓上に差し出されたミルクティをありがたくいただく。
一口飲んだだけで身体だけでなく心まで暖かくなった気がする。
中「美味いだろ?」
『はい!とっても!』
中「なンたって俺が作ったンだからな。」
『え!?市販のものじゃ無いんですか!?』
中「嗚呼、茶葉から煮出して作った。」
『中原さんって凄い人なんですね…。』
此の世の中に日頃からミルクティを作る男性が何人居るだろうか。
少なくとも私の周りにそんな人は居ない。
すると突然彼は笑い出した。
余程惚けた顔をしていたのだろうか。
中「はははっ、すまねェ。手前が可愛くてつい、な。」
『なっ………!何処がですか。』
中「そういう所だよ。」
彼は私の隣へ座ると顔に手を伸ばす。
その行動に思わず目を瞑ると髪を耳に掛けられた。
次に拍子抜けをした私が見たのは中原さんの悩ましげな顔だった。
中「なァ、俺の話聞いてくれるか…?」