第20章 侵食
『「いただきます。」』
両手を合わせた後口にするのは先程二人で作った料理。
あの後スーパーに寄り必要な物を購入し、私の家で食べることになったのだ。
何でも親睦を深める為だとか。
中原さんなりに私が頼りやすい様にと気を遣ってくれているらしい。
「愛理は料理上手だな!全部美味い!」
『いえいえ。中原さんこそ上手です!其れにお洒落ですし…。』
「こんなの簡単だ。慣れりゃアすぐ出来る。」
堂々としていて男らしい中原さん。
私なんかとは真逆だ。
気の弱いうじうじしているすぐに周りに流される自分が大嫌い。
口に運んでいた手を止め俯いた私に彼はすぐに気付いた。
「大丈夫だ。俺が守ってやるから心配すンな。」
『………如何して見ず知らずの私にそんな事云えるんですか?本当に被害に遭ってるかなんて分からないんですよ!今日だって、こんな時に限って写真も手紙もポストに入ってないし。』
「手前は嘘付かねェ。見てりゃ分かる。」
『分かりませんよ、そんなの!』
「職業柄っつーか、分かンだよ。其れに何か放っとけねェ。だから俺を頼ってくれねェか?」
少し寂しそうな眼をして真っ直ぐに見つめる彼を拒絶する事など到底出来なかった。
『本当に頼っても?』
「嗚呼。」
『ではお願いします。』
「おゥ!宜しくな!」
ニカッと白い歯を見せて笑う彼が眩しい。
私とは対象的だからこそ頼りたいと心から思えた瞬間だった。
「で、今まで送られたもの取ってねェのか?」
『基本的にはすぐ捨てるんですけど、昨日のは有ると思います。一寸待ってて下さい!確か此処ら辺に…………あっ!あった!』
「げっ。こりゃア執念深そうだな。…………ん?待てよ?」
突然立ち上がった中原さんは写真を片手に部屋をウロウロし始める。
如何したものかと声を掛けようとした時、あった!と掌を見せてくれた。
『此れって………。』