第2章 夜警
「ってなワケで連絡先くれ。」
『そんなことですか?』
「そんなことでも俺が企んだ唯一のことだ。」
『矢っ張り可笑しな人ですね。暇潰し相手でしたら何時でもどうぞ。』
クスクスと笑う姿を見て良く表情が変わる奴だなと思った。
異能力でこそ暗殺に向いているが此奴には黒は似合わねェ。
等と考えながら雑談をしていればあっという間に愛理の家へと着いた。
『送って下さって有難う御座いました。』
「おゥ。あ!約束忘れてねェだろうな!」
『勿論!此れ私の連絡先です。御誘い楽しみに待ってますね!ではおやすみなさい。』
そう云うと一礼しアパートの階段を登って行ってしまった。
きちんと部屋まで入った事を確認した中也は鼻歌を歌いながら漸く帰路へと着く。
-後日。
『今週の休み水曜日に変えられませんか?』
国「嗚呼。水曜日なら人手も足りているし問題無い。お前は何処ぞの唐変木と違って真面目に仕事しているからな、如何にでもしてやる。」
『有難う御座います!』
初めはおずおずと国木田の元へと来た愛理だったが打って変わって嬉しそうな顔に変わる。
其れを見た与謝野はすかさず、
与「なンだい、彼氏でも出来たのかい?」
と聞くとみるみる内に顔が赤くなり与謝野は「おや、当たりかイ?」と呟く。
一連のやり取りを見ていた事務所内はざわざわとし出す。
『ちっ、違います!彼氏じゃありません!』
江「……うん。嘘は云ってないみたいだねー。」
与「じゃあ恋煩いの相手ってところだ。」
『いやっ、まだ其処迄は…。』
太「愛理ちゃん?私、何も聞いていないんだけども。」
今日一日中ソファーに寝そべっていた太宰が漸く立ち上がり愛理の元へと近寄る。
その顔は笑顔ではあったが怒っていることが目に見える。
『えっ!?云うべき、でしたかね…?』
「うん。勿論。」
『ごめんなさい。』
すっかりシュンとなってしまった愛理を庇う様に与謝野は太宰を叱る。
「太宰、アンタが保守的なのが悪いんじゃないのかイ?」
「むしろ攻撃的な心算でしたが。」
「周りには攻撃的でも本人に保守的じゃ意味が無いだろ。」
「……。一応ストレートなんですが相手が手強くて伝わらないんですよ。」