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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第17章 拾い者と落し者 其の壱




江「あ、愛理ー!彼が事件について気になるみたいだから教えてやって!」

『え?私がですか?』

江「うん。だってめんどくさいもん。僕は今から御土産のお菓子食べるのに忙しいし。じゃあ、あとは任せたよ!」


本当に我関せずになってしまった彼は諦め、ふぅ。と一息をつくと空かさず太宰が問い詰める。


太「ねぇ。私連絡先知らないんだけど。」

『中也さんが教えるな、と。』

太「乱歩さんは良くて私は駄目なの?」

『みたいですよ。』

太「ふぅん。で、君は?」

『え?』

太「私の連絡先知りたくないの?」

『で、でも中也さんが……』

太「そんな下品な言葉女の子が使っちゃ駄目だよ。其れに連絡先教えるな、と云われただけで聞くなとは云われてないだろう?」

『確かに云われてないですね……。じゃあ教えて下さい。』

太「ふふっ、毎日連絡するよ。」

『それは困ります。』


最早突っ込む気力すら無かった敦は一連のやり取りを見届けると彼女に再度事件のことを尋ねる。


『嗚呼、あれはですね。犯人は異能力者狩りをしていたんです。その犯人の相棒が異能力を復元出来るようで異能持ちを調べては次々と誘拐して復元した後始末していたんですよ。映像や記録に残ってなかったり乱歩さんの推理を邪魔したのも其の異能のせいでしょう。』

敦「えっ、じゃあ今までの犠牲者って……」

『はい。皆さん異能力者です。足が付きにくい、データに無い人を狙っていたみたいですね。』

敦「それなら如何して中原さんが狙われるんですか?」

太「其れは君がデータを改ざんしたからだよね?愛理ちゃん。」

『………はい。』


苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる彼女に敦の疑問は止まらない。


敦「え?如何して?」

『答えは簡単、首領命令だったからですよ。中也さんなら大丈夫だと見越しての事でしょうが心配で独断で跡を付けたんです。そうしたら危なそうだったので異能力を使って彼を……』

敦「一寸待ったぁぁぁぁ!!愛理さんって異能力者なんですか!?」


もう本日何度目になるか分からない大声を上げると案の定国木田からの怒号が飛ぶ。
が、実際のところは国木田も気になって聞き耳を立てているのだ。


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