第17章 拾い者と落し者 其の壱
中「とっ、兎に角!帰ったら手前は説教だ!!あと彼奴にされた事全部云え!!」
『うん。何なりと。』
微笑む彼女は彼に手を引かれ歩いて行った。
—後日、探偵社にて。
敦「そう云えば、愛理さんの容疑は如何なったんですか?」
太「嗚呼、彼女はシロだよ。寧ろ被害者だね。」
敦「えぇぇぇぇっ!?」
室内に敦の声が響き渡る。
向かいの席で本日八度目のおやつの時間を迎えていた名探偵こと江戸川乱歩がケェキを頬張り乍ら怒る。
江「ちょっとー、君五月蝿い!」
敦「すっ、すみません……。でも!」
江「彼女はあの素敵帽子君を庇ったんだよ。」
敦「え?……え?でも彼の人強いんじゃ……。」
敦の言葉にうんうん。と頷いた太宰は顎に手を当てて溜息をつく。
太「確かにむ・だ・に体力は或るけど脳味噌は空だからねぇ。」
江「犯人は幻覚を見せる異能力者だった。其れを使って標的である素敵帽子君をおびき寄せた。何時もと違う彼の様子に気付いた彼女が跡を付けると殺されそうだったから助けた。……はい!これで良い?」
敦「いやいや、分かりませんよ!貴方達とは頭の出来が違うんですから…」
江「じゃああと十秒待ってて。説明してもらうから。」
敦がはてなマークを浮かべて十秒後、探偵社の扉が開いた。
『お邪魔します。』
江「あっ、来た来たー。丁度君の話をしてたんだよ!」
『え?私の話ですか?』
太「愛理ちゃん!?何で此処に!?私の所へ来る気になったのかい!?」
敦「如何して愛理さんが……?」
『此れをお渡ししに来たんです。』
彼女は太宰の言葉を華麗にかわすと鞄から書類を取り出すと乱歩へ渡した。
彼は其れをそのまま国木田へと渡すと大層驚いた様子を見て満足したようだ。
『この資料が無ければ報告書を上げられないと乱歩さんから連絡を貰ったので……。あ、あと此れ御土産です。』
江「うんうん。愛理はお菓子選びのセンスが良いね。」
太「真逆ずっと連絡を……?」
江「うん。一緒にお菓子買いに行った日からね!あの後も何回も会ってるし。」
流石の太宰も此れには驚いたらしく開いた口が塞がらない。