第17章 拾い者と落し者 其の壱
—某所にて。
?「失礼します。愛理の居場所が分かりました。彼の人と共に武装探偵社に居ます。」
?「あァ?選りに選って彼奴と一緒かよ。」
?「はい。……すぐにでも動けます。」
?「勿論だ。首領に話つけてくる。」
?「では引き続き見張りを付けます。有事の際には僕にも同行許可を御願いします。」
?「嗚呼。頼んだぞ——————芥川。」
—数日後。
太「っくしゅん。」
『風邪ですか?』
太「昨日入水した後髪乾かさなかったからかなー?」
『もう!自殺は止めて下さいと何度も………ッ!?』
何時ものやり取りをしていると急に視界が暗くなった。
柔らかい清潔感の或る香りに眼を開ければ彼が愛用している外套が視界に入り抱き締められているのだと漸く気付く。
太「……愛理。」
『はい。』
太「私が自殺するのを止めると云ったら君は、此処に居てくれるかい?」
『………自殺をしない太宰さんなんて太宰さんじゃありません。』
太「ふふっ、君らしい答えだ。」
優しく微笑んだ彼は少し力を緩めると私のおでこや頬等至る所に次々と口付けを落としていく。
だが其れが首まで来た時、急にチクリと痛みが走った。
『だ、太宰さん……?』
太「嗚呼、そんなソソる顔をしないでくれ給え。此れでも私限界に近いのだよ?」
『そっ、そう云う事では無くて……』
太「此れの事?」
悪戯な顔をしてまた首に口付けを落とすと、急に顔を上げ舌舐めずりをした彼はブラウスの釦に手が掛けた。
『ちょっ、ちょっと!』
太「所有印付けるだけだよ。」
『え?は?………ッ!』
全くもって理解出来ない彼の行動を受け入れるしか術がない私はまたチクリと胸元に痛みを感じた。
其れでも止まない口付けに段々と頭がぼんやりしてくる。
太「ふふっ、愛理ちゃんは可愛いね。」
『太宰さん……』
太「君の此の柔らかい身体をもっと堪能していたいんだけどね。そろそろ行かなくては。」
『行く?何処にですか?』
太「心配しないでくれ給え。私も一緒に居るから。」