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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第17章 拾い者と落し者 其の壱




—次の日。


敦「おはようございます!………って如何したんですか?」

『え?』

敦「いや、眉を顰めてたから体調でも悪いのかと思ったんですけど……勘違いなら良いんです!」


何この子、天使なのかしら。
確かに体調は良くないけど眉を顰めたくらいで心配してくれるなんて。


『いいえ、中島さんは合ってますよ。………一寸腰が痛くて。」

敦「え?腰…………?」


国木田さん、書類に珈琲掛かるから吹き出しちゃ駄目だよ。
敦君も目を真ん丸にさせちゃって。
この歳(※未だ二十歳)にもなると寝る体勢によってすぐ腰痛くなるんだから。
矢っ張り慣れてない寝具は辛い。


国「まっ、真逆………太宰と、その、寝たのか?」

敦「ちょっ!国木田さん!!其処はプライベエトな『はい。』」

国/敦「!!!!!?」

『お陰で昨日はあんまり寝れないし腰は痛くなるし。まぁ心地良かったんですけど。』

敦「一寸!!国木田さん!!?………駄目だ、白目向いて倒れてる。」


まるで漫画みたいな気絶の仕方するなぁ。
此の人本当に見ていて飽きない。
太宰さんが面白いと云っていた理由が分かる。





太「みんなー!おっはよーー!今日も良い自殺日和だね。」

国「太宰!!!?貴様……!!彼女と寝たと云うのは本当か!?」


太宰さんの胸倉を掴みながら問いただす国木田さん。
当の本人は一瞬だけ眼を見開いたもののすぐにニヤリと笑いこう答えた。


太「うん。寝たよ。」

国「幾ら何でも早過ぎるだろう!!こういうのはもっと順序と云う物がな……」

『ただ寝ただけですよ?』

国「おっ、お前は誰とでもそう云う事を……『いえ。』」

太「と云うか〜先刻から国木田君達勘違いしてなぁい?私と愛理ちゃんは同じ布団で横になっただけで其れ以上の事は未だ何にもないんだけど?」

国/敦「「はぁ?」」


二人して間抜けな顔。
あ、成る程。
一重に“寝る”と云っても色々意味が或るんだった。


『私と太宰さんの間には何も起こる事は或りませんよ。』

太「此れからは分からないじゃない。」

『………。』



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