第17章 拾い者と落し者 其の壱
谷「国木田さん、これから如何します?」
国「ふむ、とりあえずは彼女は警察で身柄を保護してもらおう。此の多忙さだ、探偵社に居ても守ってやる事は出来んからな。」
太「えぇーっ!?国木田君の薄情者!!人でなし!!鬼!!眼鏡!!」
国「眼鏡は関係無いだろう!!」
太「此処まで手掛かりが無いんだ、彼女の記憶が戻る事に賭けた方が早いと思うよ。彼女は必ず何かを知っている。」
矢張り私を疑ってくれている様だ。
一見へらっとしている風に見えるが実は相当頭が切れるのだろう。
あの堅物眼鏡が押し黙っている。
『私からもお願いしていいですか?なるべく迷惑はかけないようにするので…。』
国「ふむ…………まぁ良かろう。その代わり危ない目に遭う覚悟だけはしておいてくれ。」
『はい!ありがとうございます。』
敦「あれ?でも今部屋満室なんじゃ……」
途端にしまった、と云う顔をする国木田さん。
此の人も見ていて飽きないなぁ。
ん?此の人も?
あれ?他に誰か居たっけ……?
太「私の部屋においでよ!美人さんは大歓迎だよ!」
国「駄目だ。」
太「如何してー?」
国「異性の部屋に泊めるなど言語道断だ。」
太「鏡花ちゃんと敦君は良いのに私達は駄目なの?其れに他に解決策あるのかい?」
国「ゔっ………」
太「よしっ!そうと決まれば早速私の部屋を案内しようではないか!着いて来給え!」
いや、一番大事なのは私の意思じゃない?
まぁ彼の云う通り本当に解決策は或ると思えないけど。
『何が食べたいですか?』
「蟹!!」
『分かりました、ではハンバーグにしますね。』
「えぇーっ!?何で聞いたのさ!」
『参考までに聞いただけです。其れに今の季節スーパーに蟹が売ってあるとは思えません。』
太宰さんの家に向かっている途中夜ご飯の話になり御世話になる御礼に、と家事全般を引き受ける事にしたのだ。
今は食材を買う為に二人でスーパーに来ているところ。
「私はお酒コーナーに居るよ。」
『はい。後で合流します。』