第17章 拾い者と落し者 其の壱
そんなこんなで普通に歩けば五分もかからない廊下を二十分かけて歩いた。
屹度此の扉を開けば遅いと文句を云われるだろう。
コンコン
『愛理です。』
「嗚呼、入れ。」
『失礼します。』
部屋に足を踏み入れると飛んで来たのは矢張り予想通りの言葉。
中「手前遅ェじゃねェか!!!出発まで後五分しかねェぞ!!」
『遅くなってごめん。でも五分も有れば余裕。』
中「まぁ愛理なら出来ンだろうけどよ、なんか腹立つわ。」
『敬語に戻そうか?』
中「いや、そう云う問題じゃねェ!其れじゃ余計に腹立つだろ!」
『そう云うもの?』
中「そう云うものだ。よしっ、とっとと終わらせて帰るぞ。」
『うん。』
こうして私達は何時も通り任務へ向かった。
————此れが私の最後の任務になるとは知らずに。