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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第17章 拾い者と落し者 其の壱




森「それは随分と便利なものだ。取引した甲斐が或った。」

『お褒め頂き光栄です。』

森「では中原君は愛理ちゃんの指導に中ってくれ給え。」

中「はい。」

森「愛理ちゃん、頑張ってね。君の様な頭脳明晰な子が来てくれて嬉しいよ。数年前に頭の切れる子が居なくなったばかりでね……。まぁ、偶にエリスちゃんと三人で御茶会でもしようじゃない。」

『はい、楽しみにしています。』


首領室から出た私達は中原さんの執務室へと向かった。
道中はポートマフィアについての基礎知識を教えて貰い乍ら。


中「とりあえずはだな。中原さんって云うの止めろ。落ち着かねェ。」

『でも、歳上で或り上司ですから。』

中「その上司が不快な思いしてンだ。………つーか手前ェ幾つだよ。」

『20歳です。』

中「そンな変わらねェじゃねェか!童顔って云われなかったか?」

『周りに基準となる人が居なかったので分かりません。」


中原さん………いや、中也さんはしまった、と云う顔をすると別の話題にすべく術を模索しているようだ。


『あ、過去の事は気遣って下さらなくて結構ですよ。酷い虐待とかは無かったですから。』

中「の割には随分と冷たい顔してみんなが殺されていくの見てたじゃねェか。」

『あの人達は臓器売買や人身売買だけでは無く寄附金にまで手を付けていたんです。………それでも世の中で普通と云われる程度の衣食住を与えられていたんですから恨みは或りませんけどね。』

中「……結局は自分達の為だった、としてもか?」

『はい。』


綺麗な臓器を作り上げる為に仕方ない出費だったと云う事だ。
胸糞悪い、とでも云いたげな顔をする中也さんに思わず笑みが溢れる。


中「あ?」

『ふふっ、いえ、優しい幹部様だなと思って。』

中「ンなたぁねェーよ。」


私は笑いながら照れ隠しにぷいっとそっぽを向いてしまった彼をただただ眺めていた。


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