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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第17章 拾い者と落し者 其の壱




“とりあえず首領ンとこ行くぞ”


私が中原さんに拾われてから二時間後。
その言葉の通り首領室へ来ていた。


森「それで?その子は如何したんだい?」

中「大破させた孤児院にたった一人で居ました。」


苦虫を噛み潰したような顔をすると顎の下で両手を組み頬杖をついた首領、と云われる人は次に至極楽しそうな顔をした。


森「………ふむ。その子供が逃した、とでも云いたげだね。」

中「仰る通りです。愛理、もう一回経緯を説明してくれるか?」


自分で説明すれば早いものの、あえて私に喋らせる選択肢を選んだ中原さんに従い此処に来て初めて口を開いた。


『遠くから車が数台近付いてくる気配がしたので孤児院に居た子を逃しました。安全な場所まで案内した後、最後を見届ける為にまた引き返したところを中原さんに拾われました。』

森「逃走方法、案内場所、見届けた理由、が抜けてはいないかな?」


にっこりと笑う表情とは裏腹にこういう場に慣れていない素人でも分かる程の殺意を感じた。
流石ポートマフィアの首領なだけ或る。


『逃走方法は異能を使って、見届けた理由はただ潰れていくところを見たかっただけ、案内場所は云いたくありません。』

中「愛理ッ!!』

森「構わないよ。」

森/貴「『探せばすむ話だから。』」

森/中「「!!!?」」


眼を見開き此方を見る二人。
表情豊かな中原さんは想像容易いが、首領でも驚くことってあるんだ。


森「相当頭が切れる子みたいだね。君の異能力を教えてはくれるかな?」

『教えます。その後はマフィアに属します。なので、あの子達の身を保証して貰えませんか?保証期間は私の命が尽きるまで、で如何でしょうか?』

森「ふふっ、話が早い。君の云う通りにしよう。」


首領は机の電話をとると部下を呼び付けて先刻私が話した内容をそのまま告げた。


森「此れで佳いかな?」

『はい。私の異能力は———




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