第5章 嫌になるぐらいに君が好き
"亮ちゃんには俺から連絡してあるから…"
そう言って車で私を迎えに来た大倉さんに
「ありがとう…」
車の助手席に座り
流れていく景色を見つめながら
そう小さく呟くと…
「お礼は…
亮ちゃんに会ってからでええよ…」
感情の読み取れない
静かな声が聞こえてくる…
長い長い沈黙の後
車が路肩に止まり
「着いたの?」
そう言って大倉さんの方に顔を向けると
大倉さんは静かに頷いて
車を降りる
大倉さんの後に続いて車を降り
私たちから少し離れた場所のベンチに
帽子を目深に被り
たたずんでいる亮ちゃんが見つけて
走りよろうとした瞬間
そんな私の手を大倉さんが掴んで
驚いて振り返った私に
「ごめんな…?」
そう小さく呟いて
大倉さんはゆっくりと
私の体を後ろに向かせる
その視線の先には
私がこの世でもっとも見たくなかった
光景が映し出されていた…