第5章 嫌になるぐらいに君が好き
どうしても
亮ちゃんの口から
ちゃんとあの日のことを聞きたくて
大倉さんの家を抜け出して
亮ちゃんの家に来てみたけど
インターホンを押しても
うんともすんとも言わない玄関の扉に
ため息が出る…
それでも諦めきれずに
玄関の前に座り込むと
あんなに眠ったのに
また眠気に襲われて
体を小さく丸めてうとうとしていると
あかね…あかね…?
そう私を呼ぶ声が聞こえて
ゆっくりと顔をあげると
私の顔を心配そうに見つめる
亮ちゃんの顔が見えて
「亮ちゃん…」
そう言って手を伸ばすと
亮ちゃんは何も言わずに
私を抱き抱えて
家の中に入って行く…
ゆっくりと私を
ソファーに降ろすと
「体は大丈夫なんやな?
あれから全然連絡取れへんし…
大倉に聞いても話してくれへんし…
心配で…
どうにかなりそうやった…」
そう言って亮ちゃんは
私を抱きしめたまま深く
息を吐き出す…
「ごめんね…
私…あの日見たことが辛くて
信じたくなくて
もう何も見たくなくて
目を覚ましたくないって
そう願っちゃって…」
そんな私の言葉に
亮ちゃんは慌てたように
「あれは違う!
確かにはなさんとはたまに会ったり
してるけど…はなさんと俺は
ただの友達や…
あれ以来そういうことは一切ないし
俺が好きなんはお前だけや!
だからそんなこと言うな…」
そう言って真っ直ぐに
私を見つめる…
そんな亮ちゃんの言葉に
我慢してた涙は次から次に
溢れ出してきて
そんな私の涙を
亮ちゃんは泣き笑いの顔で
必死に拭ってくれて…
「私も亮ちゃんが大好きだよ…?」
そう言って亮ちゃんの顔を見つめると
「もうどこにも行くな…」
そう呟いた
亮ちゃんは私の顔を引き寄せ
優しくキスをした…
触れた唇から伝わる
亮ちゃんの息遣いや体温に
私はどうしようもなく
この人が好きなんだ…
そう改めて思い知らせた…