第5章 嫌になるぐらいに君が好き
「ほんまに昨日はごめんね…?」
仕事終わり
あかねの家を訪ねて
最初に感じたんは
違和感…
何が…とか
どこが…とか
ではなく
「うん…大丈夫だよ…?」
そう言って笑うあかねの笑顔は
いつもと変わらないはずやのに
どこか知らない人の笑顔を
見ているような気がした…
「昨日はあの後
亮ちゃんに送ってもらったん…?」
そう何気なく
冷蔵庫からビールを
持ってきてくれたあかねに聞いた時
「うん…」
そう言って
俺にビールを差し出す
あかねの手は
小さくカタカタと震えていて
違和感は
黒い疑いに変わり…
「なぁ…あかね…?」
「うん…?」
「俺のとこで一緒に住まへん…?」
俺のそんな一言に
あかねの顔から笑顔が消えて
驚いたように俺を見つめる
あかねの目は悲しそうに
揺れていて…
その目に見つめられた瞬間
黒い疑いは
確信に変わってしまったんや…