第3章 片思いの終わらせ方
洗面所に飛び込み
抑えても喉から漏れだす嗚咽に
苦しくて床に座り込むと
「あかね…?」
そんな声と一緒に
私の背中に触れる手に
「ほっ…といて…よ…?」
そう言って振り払うと
「泣いてんのに
ほっとけるわけないやろ…
大倉と…何かあったんか…?」
なんて亮ちゃんは
涙でぐちゃぐちゃな私の頬に触れながら
心配そうに私の顔を覗き込む…
来てくれて…
気付いてくれて…
本当は嬉しいのに
亮ちゃんに触れるはなさんの手が
どうしても頭から離れなくて
「いいよ…心配するふりなんか
してくれなくても…
私のことなんか気にしないで
はなさんと楽しく過ごせばいいじゃん…」
なんて…
可愛いげの欠片もない言葉が
口から飛び出して…
ぐちゃぐちゃな感情は更に
「はぁ?
何言うてんねんお前…?」
そう言って
不機嫌に顔をしかめる亮ちゃんに
「亮ちゃんなんて嫌い…大嫌い…!!」
そんな心にもない
ひどい言葉を吐き出し
頬に触れる
亮ちゃんの手から顔を反らす…
下を向く私の耳に
「解った……もう帰るわ…
今日はデートの邪魔して悪かったな…?」
そんな亮ちゃんの静かな声がして
ゆっくり顔をあげると
目の前の扉が
パタンと音を立て閉まり
亮ちゃんは私の前から
いなくなっていた…