第2章 意地悪なバレンタイン
「あれ…大倉くん?
こんなとこで偶然だね…
もしかしてデートかな(笑)?」
そんな
私の後ろから聞こえる
わたがしみたいに甘い声…
大倉さんに
こんな悲しそうな顔をさせられる人
あの人しかいないじゃないか…
私と大倉さんが座る席に
近付いてきたその人は
誰だか知らない男の人と腕を絡ませ
楽しそうな笑顔を浮かべて
「あかねちゃん…だったよね?
ごめんね…デートの邪魔しちゃって…
でも二人…すごくお似合いだよ(笑)?」
なんて
大倉さんの悲しそうな顔に気付きもせず
薄っぺらくて
ひどく残酷な言葉を吐き出して
ひらひらと小さな手を降り
何事もなかったみたいに
私たちの席から離れていった…