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あんスタ夢倉庫

第18章 乙狩 アドニス / 七夕





「アドニスくん、書けた?」

「あぁ」





俺は、書き上げた短冊を聖子に見せた。
すると、聖子は顔を赤く染めて、俺を見上げた。
とても可愛いその姿に、顔が綻ぶ。






「…星に願うだけではダメだろうな。聖子、改めて言わせて欲しい。俺は…」

「あぁぁぁぁ、ま、待って!!!」





聖子は慌てて、手に持っていたぬいぐるみ(射的の景品)で俺の口を覆った。
そしてキョロキョロと周りを伺う仕草に、ようやく合点がいった。
ここには、一般客が多くいる。
そんな中、アイドルである俺が一人の女性に告白など、大スキャンダルとなってしまう。



理解は出来ても、この想いを伝えられないもどかしさに項垂れていると。
彼女はふふっ、と笑いながら、先程書いていた短冊を俺に手渡してくれた。




目を丸くする俺に、聖子は顔を赤らめながら、はにかむように笑った。





『アドニスくんと、これからもずっと一緒にいられますように』

『この先もずっと聖子と一緒にいたい』





一応、裏にカムフラージュとして仕事の抱負を書き。
それを表にして、二つ並べて笹の一際高いところに結んだ。




並んで風に揺れる短冊を見て、俺たちは満足げに微笑む。






「あ、そろそろライブが始まっちゃう!!」

「そうだな、俺も、神崎の勇姿を目に焼き付けておきたい」




俺達は、また手を繋ぎながらライブステージまで歩いて行った。






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「素敵なライブだったね♪」

「あぁ。今日も神崎は凛々しく恰好良かった」

「ふふ、そうだね」





ライブが終わり。
聖子は撤収作業を手伝うつもりでいたのだが。
紅月や現場のスタッフがそれを許さず、帰宅命令が出された。
勿論、それはみんなの好意である。


そうと分かっていても、暫くは納得のいかない様子の聖子であったが。
プロデューサー科の後輩の経験にもなるから、という言葉にようやく折れてくれたのだ。



聖子は相変わらず仕事熱心だ。
そういうところも、好きなのだが。





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