第14章 天城 燐音 / 天城 燐音はキスをしない
ー ES内、とある天井裏 -
(なんでニキはんはこないな所知ってるん?)
(実は前にマヨちゃんが入って行くの見ちゃったんすよ~。おっ、姐さん来たみたいっすね)
(…全く、覗きなんて趣味が悪いですよ)
(そう言うHiMERUはんも気になってるんとちゃう?)
(HiMERUは別に…)
(まぁまぁ、ほら、姐さんもレッスン室に入るみたいっすよ)
ノックをして、ガチャっとレッスン室に入ると…
「遅ェぞニキこのやろ…………」
「え……、燐音、さん……?」
(…痛い。この沈黙が痛いっす)
(随分と重たい沈黙やな。一体何しでかしたんやあのアホンダラ)
(おや? 天城は二人に何も話してないのですか?)
(姐さんを泣かせてしまったって事だけ聞いたっす)
(理由によってはシバき回したる)
(成程…)
「えっと…、私、ニキさんからレッスン室に来て欲しいとだけLINE貰って来たんですけど…、これから何かあるんですか?」
「……そーゆー事かよ……」
「??」
「………なぁ…聖子…。その……」
燐音さんの手が、私の目元にそっと触れた。
「あ……」
「悪い……俺のせいで……その…。俺は、どうしたら良い…?」
それは、初めて見る顔でした。
まるで子供のような…
燐音さんも、こんな顔するんですね
「…ふふっ……」
「なっ…何で笑ってンだよ…?」
「ごめんなさい、燐音さんは悪くないんです。私がちょっと、寂しなっていじけてただけで…」
「寂しい…? 確かに最近は忙しくて会えねぇ時もあったけど…」
「そうじゃなくて…。燐音さん、私たち、付き合って1年です」
「…? おう」
「私、燐音さんの事、大好きなんです」
「…おぅ…///」
(うわー、めちゃくちゃ嬉しそうっすね燐音くん)
(燐音はんもあんな顔するんやな)
(静かにしていないと気付かれますよ)