第12章 天城 燐音 / Happy Birthday

「聖子さん、そんな顔しないでくださいっす。燐音くんも聖子さんに会ってから少しずつ変わっていってるんで、もしかしたら今年はちゃんと受け入れて貰えるかもしれないっすから♪」

「ニキくん…」

「聖子さんの思い、思い切ってぶつけてみたらいいと思うっす！ 僕も、何かお手伝い出来ることがあったら手伝いますから♪」

「ありがとう…、じゃあ、早速お願いがあるんだけど…」












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また、嫌な夢見ちまったな…。



もう郷の連中はいねぇってのに…
これだから嫌なんだよ、誕生日っつーのは…。



…はぁ。パチでも並んで来っかな…。







♪ピンポーン





は…？

こんな時間に一体誰が…




ガチャ…




「燐音さんおはようございます！」

「……は？ 何で聖子が…？ お前仕事は…？」

「勿論、有給取ってあるに決まってるじゃないですか！！」

「は？ なんで…」

「燐音さん今日は私とデートしてください！！///」

「………は？」






呆気に取られていたら、目の前の聖子はしゅん…と項垂れてしまって。




「だって…燐音さんの誕生日ですよ…？ 大好きな人の誕生日は、私にとっても大切な日だから…。ぜ、絶対に…お祝いしたくて…///」

「聖子…」

「あっ…ご、ごめんなさい…やっぱり迷惑でしたよね…、勝手にこんな事して…。あ、で、でもこれだけは！ これだけは渡したくて…」

「…なに、これ？」

「ケーキです、ニキさんに教えて貰って作ってみました…あ、味は…その、あんまり美味しくないかもしれないけど…」

「…そっか」






俺はケーキを受け取って一旦靴箱の上に置いて
そっから聖子を思いっきり抱き締めた。




「あっ…燐音さん…？///」

「祝ってくれるんだろ？ だったら、今日はお前を独り占めにしてもいーよな？」

「…はい！！」





とびっきりの笑顔をくれた聖子に軽くキスをして、部屋に招き入れた。