第1章 雨の日
「「いただきます。」」
声を揃えていただきますを言う。
他の人と一緒にご飯を食べるなんて久しぶりだなと思うとまた楽しくなってきた。
「和泉圭祐です。高校2年生です。よろしくおねがいします。」
ご飯に箸をつけるよりも先に自己紹介してきた。
「私は的羽光里です。よろしくね、和泉君。」
ワクワクした気持ちを抑え、なんとか年上の威厳を保とうとするが
口元に自然と浮かんでくる笑みによってその努力はあっけなく無駄になった。
圭祐も楽しそうに見える。そうだと良いな、と光里は思った。
先にご飯を口に入れた圭祐が嬉しそうにご飯をほおばった。
「美味しいです、的羽さん!」
「ありがとう。料理はあんまり自信ないんだけどね。」
「他人と食べるの久しぶりですし、すごく美味しいです。」
「ところで、なんであんな場所で仔犬かかえてたの?」
食べながら光里は聞いてみた。
「あ、僕家がこの近くで、帰り道にここを通りかかったんです。
そうしたら仔犬がいたので居ても立っても居られなくて。」
その後も色々と話して盛り上がり、夕食はすぐに無くなった。
光里が話していて抱いたのは最初と同じ、素直という印象だった。
(弟に欲しい、、。)
そう思うこともしばしばあった。