第7章 哀しみと踏み出し
「って事があって、それから会えてないんだよね。」
あれから4日。光里は大学で綾奈に相談をしていた。
「ほー。電話とか、メールは?連絡先知ってるんでしょ?」
「うん。どっちもやってみたんだけど切られちゃうんだよね。」
「そっか。」
「じゃあ、会いに行っちゃえば?」
「え!?」
「高校、知ってるんでしょ?会いに行けばいいじゃん。」
「いやいや、それやったらただのストーカーになっちゃうから、、、。」
「まぁね〜。」
(高校、か。)
季節は7月の中旬。もうすぐ夏休みに入るだろう。
(部活忙しいだろうなぁ。)
「そういえばさ、あの女の子いたじゃん?吹奏楽部の1年。」
「ああ、萩原さん、だっけ。」
(部活ってことはあの子と一緒なのか。)
「んん、やだ。」
「は?なにが?」
「あ、いや、なんでもない。」
「それでさ、あの子と仲よさげって言ってたじゃん。」
「うん。」
「その子と付き合って、で、彼女ができたのに他の女性の家に行くわけにもいかず、光里の家に行くの控えてるってことはないの?」
(あの子と、和泉君が、付き合う?)
「やだ。」
「いいとかやだとかいう問題じゃないでしょ。で、可能性は?」
「ある。」
萩原に限らず、他の子と付き合ったとか、そうでなくてもからかわれたとか、そういう事はあり得る。
「でも、なんか違うんだよね。」
「どういう事?」
「あー、なんか言い表すの難しいんだけど、なんかもっとウワァーってかんじ。」
「なにそれw緊迫した感じってこと?」
「それ!」
(なんだか、そんな軽い感じじゃなかった気がするし、それに和泉君がそんな理由で「もう来ない」とか言うとは思えない。)
「なるほどね〜。あ、引っ越すとか?」
「なら、言ってくれてもいいじゃん。」
「まぁそれもそうか。」
2人でうーん、と悩んでも一向に答えは見つからない。
「あ、時間だわ。」
「なんの?」
「デート。ごめん、じゃあね。」
「うん、ばいばい。」
取り残された光里は1人で毒づいてから帰った。