第7章 哀しみと踏み出し
はぁ、とため息をつき、観念したとばかりに両手をあげて吉川は言った。
「あはは、光里ちゃん思ったよりやるね〜。
あ、軽蔑しないでね。l
「しませんよ。」
(なんか、断られるのわかってて言ったみたいだし。
その昔の思い出とやらが関わってるんだろうな。)
「ありがとうございます。」
「なんでお礼言うの。」
「話聴いてくれたからです。」
「別にいいよ。じゃあ、なんかあったら俺の話も聞いてね。」
「もちろんです。ぜひ聞かせてくださいね。私なんかで役に立てるなら。」
「うん。頼りにしてるよ。」
(今日改めて思ったけど、吉川さんって良い人だよなぁ。)
「はいよ。」
目の前に缶コーヒーが置かれる。
「あ、ありがとうございます。」
(前も悩んだ時缶コーヒー一緒に飲んだよな〜。)
「バイト中に堂々と缶コーヒー飲んでて平気なのかね。」
「今日はお客さんあんまり来ないから、平気なんじゃないですか?」
「それ、店的にダメでしょ。」
「確かにそうですねw」
そんな事を話していると、少しずつ気分が明るくなってくる。
「はぁ〜。コーヒー美味しいなぁ。」
「そりゃそうだよ。俺なりに分析した光里ちゃんの好きなコーヒーデータに基づいて買ったから。」
「なんですかそれw」
(なんか心が軽くなったかも。)
ふぅ、と息を吐く。
少し晴れ晴れとした笑顔を浮かべる光里を見て、吉川は安心したような笑みを見せた。