第6章 大人のヨユウ
映画が終わり、お昼過ぎになった。
「お昼食べませんか?」
「うん、そうだね。お腹すいた〜。」
「僕、行きたいところがあるんです。一緒に行ってくれませんか?」
「うん。」
少し歩いて着いたのは、和食屋さんだった。
「そんなに高くないんですけど、とても美味しくて。
初めて食べた時に的羽さんと食べたいなって思ったんです。」
「本当?ありがとう。」
美味しいものを食べた時、光里は1番に圭祐にも食べさせてあげたいな、と思う。
圭祐にとってそんな相手になれたなら嬉しい。
「面白かったね、映画。まさか犯人が執事さんだったなんて、びっくりだよ〜。」
映画は探偵である主人公がとある資産家のお屋敷で起きた事件を解決するという内容だった。
「そうですね。僕も原作で読んだ時はびっくりしました。」
そんな他愛もない話をしていると、まもなく料理が運ばれてきた。
「よし、それじゃ、食べようか。」
2人揃って「いただきます」を口にする。
普段、家で言っている言葉なのに「デート」というだけでなんだか特別に感じる。
光里が圭祐をちらっと見ると、圭祐はもうご飯を口に運んでいた。
料理は本当に美味しかった。
おススメしたくなる気持ちもわかる。
「ほんとだ、美味しいね。」
そう素直な感想を述べると圭祐は目を輝かせて
「本当ですか?喜んでもらえてよかったです。」
と言った。
(子犬みたいで本当に可愛いな)
そんな事を思った。ずっと一緒にいたいとも。