第1章 雨の日
言った後に思った。
(今私は19。もし一年遅かったら20で、私は犯罪者になってしまう。
年下の男子に私は何を言ってるんだろう。発言を撤回したい。)
勢いで言ってしまったので、まずかったかなと不安になる。
引き留めた時に男性がこちらを向いたので今は男性と見つめ合うような形になってしまった。
「えっと、、、。」
男性は困ったように眉を寄せて呟いた。
「僕がもし悪い男だったらどうするんですか?」
(そうなるよねー。)
と思いつつ、光里は下を向きながら
「だ、だよね。ごめんなさい。」
と言った。
光里自身が反射的に言ってしまったというのもあるが、
制服を着ていて黒髪で眼鏡で可愛らしい顔立ちをしているので悪い男ではないような感じがした。
そういうと見た目で決めてるみたいだな。そうでなくても
雨の日に仔犬を助けていて、尚且つ律儀で純粋な人を警戒する気にはなれなかった。
その時タイミングよく男性のお腹が鳴り、2人同時に笑ってしまった。
「す、すみません。安心したらお腹空いちゃって。」
と男性は照れながら言ってきた。
光里は改めて言うのもおかしいとは思ったが
「えっと、今から作るので遅くなってしまいますけれど夕飯一緒にいかがですか?」
と誘ってみた。
「すみません、、、。」
お腹が空いていたのか、断りにくくなったのか、一緒に夕飯が食べたくなったのかは
わからないが今度は素直に誘いにのってきた。
光里は頷いてからキッチンへ向かった。