第4章 誕生日
「なんか、すみません。」
「え?」
「いつもお世話になっているけど僕は何もできていないので。」
「ああ、そういうこと。」
「僕も的羽さんのためになにかさせてください。
僕だけお世話になるわけにいきません。」
「平気平気。だいじょ」
「大丈夫、は禁止です。本当にないなら良いですけど、
的羽さんいっつも大丈夫、大丈夫って。」
「それは、、、。」
「そんなにいつも大丈夫な訳ないでしょう。
大丈夫じゃなくても大丈夫って言っちゃうの僕知ってるんですから。」
「本当に、平気だってば。」
(本当にやめてほしい。離れられなくなっちゃうから。
相手はまだ高校生なのに、本気になっちゃったじゃん。
あーあ、そういう優しくて真剣な所、好きだなぁ。)
思ったことが表情に出たのか、圭祐が心配そうに光里の方を見ている。
「僕は、そんなに頼りないですか?」
次に発せられたのは予想外の一言だった。
「え?」
「僕じゃ、そんなに頼れませんか?最近いつも何か悩んでるみたいなのに
どうしたんですか、ってきいても大丈夫としか言ってくれないし。
どうにもできないかもしれないけれど、悩みくらい聞くのに。
僕は、そんなに子供ですか?」
「そんなこと、ないよ。」
(嘘。本当は、あと少しで会えなくなるくらい子供です。)
考えたら泣けてくる。泣くまいと頑張って耐える。
優しくされて、嬉しいのに返って離れたくなくなって涙がでそう。
「っ、的羽さん、ごめんなさい。
言い過ぎました。僕、高校生ですもんね。」
圭祐は寂しそうな顔をして言った。
「僕、今日はとりあえず帰って頭冷やします。」