• テキストサイズ

雨の帰り道

第4章 誕生日


7月8日。光里はドアの前で控えていて、
圭祐がインターホンを押すなりドアを開けた。
「ハッピーバースデー、和泉君!」
「わ、的羽さん!」
「へへへ、驚いた?」
「はい。びっくりしました!」

「どーぞ。いつもと変わらないご飯だけど、ごめんね。」
「大丈夫です!ありがとうございます。」
(本当かな。)

「美味しいですよ。ありがとうございます。」
そう言って笑う圭祐が光里は大好きだ。
だから、絶対。振り向かせる。

「あのさ、和泉君。」
「なんですか?」
「誕生日おめでとう。」
光里が手渡したものは楽器の手入れに使うスワブという布だった。
演奏中の圭祐はすごくかっこよかったから。
高校生が買わなそうな少し高めの物を選んだ。

「え、良いんですか?ありがとうございます!」
「どういたしまして。」

圭祐はとても気に入った様子でスワブを眺めている。
正直、ここまで気に入ってもらえるとは思っていなかった。
それどころか渡す直前まですごく不安だった。
(やっぱり、綾に相談して良かった。)

「気に入ってもらえて何よりだよ。」
「本当にありがとうございます。一生大切にします!」
「大げさだよ。気に入ってもらえて私も嬉しい。」
/ 59ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp